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高瀬 和之; 吉田 啓之; 小瀬 裕男*
ハイパフォーマンスコンピューティングと計算科学シンポジウム(HPCS 2005)論文集, P. 16, 2005/01
燃料集合体内の二相流解析には従来から二流体モデルが使われているが、二流体モデルはすでに特性が解明されている範囲での平均的かつ巨視的な現象に対してのみ有効であり、気液二相流を特徴づける非定常な界面構造を予測する機構論的な解析法とは言い難い。そこで、著者らは地球シミュレータ等のスパコンを利用して相変化や流動遷移などの複雑な過渡現象を含む二相流挙動を直接的に解析する手法の開発を行っている。本報では、革新的水冷却炉を例として行った検証解析結果について述べる。稠密に配置された燃料棒間の流路形状を簡略模擬した体系で大規模二相流解析を行い、(1)微細な気泡は下流へと移行しながら合体し、次第に成長する,(2)合体により気液界面が大きく変形し、それに伴って気泡周囲に複雑な速度場が形成される等の3次元的な気泡流のダイナミクスを再現できた。予測結果の傾向はモデル実験結果とよく一致しており、大規模シミュレーションを主体とした炉心熱設計の実現に大きな見通しを得た。
高瀬 和之; 小瀬 裕男*; 鈴木 貴行*; 秋本 肇
日本機械学会山梨講演会講演論文集(000-4), p.173 - 174, 2000/00
核融合実験炉ITER(International Thermonuclear Experimental Reactor)で真空容器内冷却材侵入事象(Ingress of Coolant Event)が起きた場合の真空容器内の気液二相流挙動を数値解析的に調べ、ITER構成要素を約1/1600で模擬したICE統合試験装置の結果と比較した。解析には二相流モデルから成る3次元Navier-Stokes方程式を使用した。ICE事象発生後、水の減圧沸騰によりプラズマチャンバー内は蒸気で満たされる。その後侵入水はダイバータを通って真空容器底部に停留する。本解析ではこの一連の二相流挙動を数値的に明らかにした。また、サプレッションタンク内では蒸気凝縮によって初期水量及び水温が増加し、その結果飽和水量が上昇することを数値的に検証した。一連のICE事象解析の結果は冷却材侵入時の水-蒸気沸騰二相流挙動を数値的に十分予測できることを示した。
平野 雅司; 冨山 明男*
日本機械学会論文集,B, 58(556), p.3613 - 3618, 1992/12
原子炉の事故解析の分野では、二流体モデルを用いた過渡二相流解析が広く行われている。二流体モデルでは、気相と液相の各々に対して保存方程式を考慮するため、解くべき方程式や構成式の数が多い。従って、特に多次元の場合は、単純で効率的な数値解法の確立は重要といえる。本報では、既に提案済みの単相多次元非圧縮性粘性流れの数値解法である改良SOLA法を基に、圧縮性を考慮した多次元断熱二流体モデルの基礎式に適用できる解法を提案した。本解法では、アルゴリズムが著しく単純で境界条件の設定が容易である等のSOLA法の特徴がそのまま保存されているのみならず、反復収束特性が改善されている改良SOLA法の特徴も保存されている。
平野 雅司; 冨山 明男*
日本機械学会論文集,B, 58(556), p.3619 - 3624, 1992/12
第1報(同時投稿)では、単相非圧縮性粘性流れの数値解法である改良SOLA法を基に、圧縮性を考慮した断熱二流体モデルの基礎式に適用できる解法を提案した。この解法は、アルゴリズムが著しく単純で境界条件の設定が容易である等の大きな特徴を有している。本報では、この解法の有用性を検証するとともに、ある位置での相状態が時間の経過とともに単相から二相へ、又は、二相から単相へと変化する。いわゆる相遷移の数値的取扱いを検討することを目的として、この解法を二相流数値解法の基礎的な検証問題に適用した。対象とした問題は、単純形状における重力による気液の置換の問題である。その結果、こうした流動状態の動的変化が大きい問題についても、本解法では円滑に数値解が求まることが確認された。
渡辺 正; 久木田 豊
Nucl. Eng. Des., 135, p.327 - 340, 1992/00
被引用回数:12 パーセンタイル:72.81(Nuclear Science & Technology)摂動に対する二流体モデルの安定性に及ぼす付加質量項の効果について調べた。運動方程式中の付加質量項として座標変換に対して不変(オブジェクティブ)な形式となるもの二種、及び時間微分項のみの単純化形式について検討した。Drewらの導出したオブジェクティブ形は微分方程式を双曲型に変えるが、相間の相互作用項としてより一般形であるDrew-Laheyのオブジェクティブ形では、方程式は双曲型にならず、単純形では流速に依存して双曲型になることが解った。また、有限差分法による数値解の安定性が微分方程式の双曲性ではなく、離散化した差分方程式のスペクトル半径によって決定され、Drew-Lahey形は数値解の安定性にも寄与しないことが、線型安定性解析及びMINCSコードによる数値計算によって示された。
秋本 肇; 阿部 豊; 大貫 晃; 村尾 良夫
JAERI-M 91-086, 470 Pages, 1991/05
二流体モデル構成方程式に対する評価改良を広範囲に効率よく行えるようにすることを目的に、二流体モデル構成方程式評価用ドライバーコードMINI-TRACを開発した。MINI-TRACコードは、(1)一次元二流体モデルによる基礎方程式を用いている。(2)必要なコアサイズは、640kB以下であり、パーソナルコンピューターでも利用できる。(3)TRAC-PF1/MOD1コード、TRAC-BF1コード及びRELAP5/MOD2コードから取り出した3種類の構成方程式パッケージを内蔵している。(4)構成方程式ルーチンはモジュール化されているので、変更も容易であり、ユーザーがチェックしたい相関式を簡便に組み込める等の特徴を有している。本報告書はMINI-TRACコードのマニュアルであり、MINI-TRACコードで用いている基礎方程式、数値解法、MINI-TRACコードに現在組み込まれている構成方程式パッケージ及び物性値ルーチンの内容、MINI-TRACコードの使用方法、入力データの指定方法、MINI-TRACコードのプログラム構造とプログラムでの主要変数名とその内容についてまとめたものである。
阿部 豊; 秋本 肇; 村尾 良夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(3), p.208 - 217, 1991/03
二流体モデルを用いて対向流の解析を行う場合、流体に働く剪断応力の評価精度が重要になる。しかしながら、現在対向流の解析に用いられているのは並向流で得られた相関式や壁面摩擦を無視した相関式等である。これらの相関式を用いた二流体モデルによる対向流の予測計算では、落水流量等が十分な精度で予測できていない。本研究では、対向流における界面および壁面剪断応力を知るため、円環状の液膜と気相のコアとが分離して流れると仮定した解析モデルを作成、対向流状況下における剪耐応力分布を解析的に評価した。その結果、並向流で得られた相関式や壁面摩擦を無視した相関式等が対向流に対して拡張できないことを明らかにするとともに、二流体モデルで使用できる対向流条件したでの界面剪断応力係数と壁面剪断応力係数に関する新たな式を作成した。
阿部 豊; 秋本 肇; 村尾 良夫
6th Proc. of Nuclear Thermal Hydraulics, p.401 - 408, 1990/11
気液対向二相流は、軽水炉の冷却材喪失事故における最も重要な現象の一つである。現在の二流体モデルコードの対向流に対する予測精度を調べるために、Bharathanらによる垂直単管での実験データを用いた評価計算を行なった。その結果、RELAP5やTRAC-PF1の相関式を用いた計算では、対向流における落水流量が過大評価されることが分かった。そこで、定常の環状流を仮定した解析モデルにより、対向流状況下における剪断応力を評価したところ、TRAC-PF1で用いられている並向流でのWallisの式が対向流に対して拡張できないこと、RELAP5で用いられているBharathanらの式では無視されている壁面剪断応力が界面剪断応力に比較して無視できるほど小さくなく、現在の二流体モデルが対向流条件下での落水を過大に評価するのは壁面剪断応力の過小評価に原因があることを明らかにした。
阿部 豊; 秋本 肇; 村尾 良夫
Transactions of the American Nuclear Society, 62, p.719 - 720, 1990/11
気液対向二相流は、軽水炉の冷却材喪失事故における最も重要な現象の一つである。現在の二流体モデルコードの対向流に対する予測精度を調べるために、Bharathanらによる垂直単管での実験データを用いた評価計算を行なった。その結果、RELAP5やTRAC-PF1の相関式を用いた計算では、対向流における落水流量が過大評価されることが分かった。そこで、定常の環状流を仮定した解析モデルにより、対向流状況下における剪断応力を評価したところ、TRAC-PF1で用いられている並向流でのWallisの式が対向に対して拡張できていないこと。RELAP5で用いられているBharathanらの式では、無視されている壁面剪断応力が界面剪断応力に比較して無視できるほど小さくなく、現在の二流体モデルが対向流条件での落水を過大に評価するのは、壁面剪応力の過小評価に原因があることを明らかにした。
吉田 啓之; 堀口 直樹
no journal, ,
原子力発電所の過酷事故においては、溶融した燃料などの固化により、燃料デブリが多孔質体状となって存在することが想定される。このため、原子炉過酷事故の推移を検討するためには、多孔質体内の熱流動挙動の評価が必要である。事故時においては、多孔質体内に多様な流動が現れることが想定され、特に燃料デブリ温度の上昇や再溶融などの検討には、多孔質体内の二相流挙動の評価が重要となる。そこで、三次元二流体モデルに基づく多相CFD数値シミュレーション手法の開発を行っている。本報告では、開発中の三次元二流体モデルに基づく多相CFD数値シミュレーション手法の概要や、適用した二相流モデル、解析結果などについて説明する。